侵略的外来種だけどおいしい!食べきれないほど大量の実をつけるストロベリーグアバ

6年前の2014年、私たち夫婦はハワイ島東部に3エーカーの土地を買いました

以前の所有者は土地をブルドーザーで切り開いたり家を建てたりしなかったので、買ったときは「ほぼ手つかずのジャングル」のような感じでした。

ハワイ固有種のオヒア、ウルへ、ハプウなども生えてましたが、それを圧倒的に上回る数の外来種が生い茂っていました。

その外来種とは、、、

本日の主役・ストロベリーグアバ。

ストロベリーグアバとは一体どんなフルーツなのか、本記事で探っていきたいと思います。

 

ストロベリーグアバの基本情報

学名 Psidium cattleianum(フトモモ科バンジロウ属)
英名 Yellow strawberry guava、Cattley guava、Cherry guava
別名 キバンジロウ、キミノバンジロウ、テリハバンジロウ、Waiawī、Araçá
原産地 ブラジル
おすすめ度 ★★★★☆

ストロベリーグアバは熱帯果樹として有名なグアバ(バンジロウ)の近縁種。

グアバ(Psidium guajava)

栽培が簡単で、グアバより味が良いため、熱帯・亜熱帯の各地でグアバとともに果樹として広く栽培されています。

果実は一つあたり60〜120個という大量の種子を含むため、繁殖力が非常に高いのが特徴です。

それも甘い果実は鳥獣の大好物!果実を食べた鳥獣は種子を遠くまで運び、ストロベリーグアバの個体数はどんどん増えます。

ストロベリーグアバは放置すると大群落になる

私たちが切り拓いている土地でもはじめは上のような大群落が形成されていました。

あまりにも生命力が強いので、放っておくとストロベリーグアバばかりが育ち、在来植物の成長が阻害されてしまいます

このような特徴からストロベリーグアバは、国際自然保護連合(IUCN)の種の保全委員会が定めた世界の侵略的外来種ワースト100 にも選ばれています。

もちろん、ハワイでも侵略的外来種に指定されています。

ストロベリーグアバの果実は黄色のものと赤色のものがあり、黄色のものはキミノバンジロウ赤色のものはテリハバンジロウとも呼ばれます。

黄色い実をつけるキミノバンジロウのほうがテリハバンジロウよりも多くの実をつけ、一つ一つの実も大きいです。

実際、赤い実をつけるテリハバンジロウの木は少なく、たまにしか見かけません。

フルーツは生でそのまま食べたり、ジュースやジャムにしたりして食べます。

濃緑色の分厚く光沢のある葉はグアバと同じくお茶にして飲むこともできます。

木材としても優秀で、硬くて耐久性があり、炭や薪などにも使われています。

 

ストロベリーグアバを収穫して食べてみた

ストロベリーグアバは、ハワイ島では春と秋の年2回収穫できます。

なのでキミノバンジロウとテリハバンジロウの両方を9月上旬に収穫して食べてみました。

キミノバンジロウ(Yellow Strawberry Guava)

今回採ったキミノバンジロウ。最大のものは長さ3.6センチでした。

重さは約30グラム。

一番小さいもので長さ3.2センチ、重さ20グラムくらい。

果実を縦切りと輪切りにした断面。

びっしり詰まった白い種と透明な果肉が見えます。

ちなみにふわっと甘い香りが漂いますが、この香りがいちごに似ていると感じた人たちがストロベリーグアバ(Strawberry guava)と呼ぶようになったのが名前の由来だそうです。

食べてみたらほどよく熟れていて、甘みが強くておいしかったです。

皮ごと食べることもできますが、少しえぐ味もあるので私は食べません。

種は大量に入っていますが取り除くのがめんどうなので、私は気にせず飲み込んじゃってます!

ちなみに「キミノバンジロウはレモン風味で酸味が強い」と表現する方もいますが、私はどちらも感じませんでした。

むしろ赤実のテリハバンジロウのほうが酸味があるように感じます。

参考までに糖度計でキミノバンジロウの糖度を測ってみました。

結果は13%(度)でした。

 

テリハバンジロウ(Red Strawberry Guava)

一方で、テリハバンジロウは長さ2.4センチでした。

重さは9グラム。

キミノバンジロウに比べてひと回り小さいのがわかります。

果実を縦切りと輪切りにした断面。

ほんのり酸味もありますが、甘くておいしかったです。

味はよく「イチゴの風味」と表現されますが、私にはイチゴが感じられませんでした。

せっかくなのでキミノバンジロウ同様、テリハバンジロウの糖度も測ってみました。

結果はなんと15%(度)

両方を食べてみて、キミノバンジロウのほうが甘く感じられましたが、糖度はテリハバンジロウのほうが高いのは意外でした。

 

おいしくて栽培も簡単なのになぜハワイで商業利用されないの?

ストロベリーグアバはハワイに1825年に農業用・観賞用に導入されましたが、現在まで商業的にほとんど利用されたことがありません。

おいしくて栽培も簡単なのに、なぜ商業利用されないのか?

その理由はその需要がないこと(そこら中にあるのでわざわざ買う必要がない)に加え、ミバエ(fruit fly)の存在があります。

そうなんです、ストロベリーグアバはミバエの大好物。

キミノバンジロウにとまったハエ

木の上で完熟したストロベリーグアバには必ずといっていいほど、小さな穴が空いています。

穴の空いたストロベリーグアバを半分に切ると、だいたいハエの幼虫がうじゃうじゃ見つかります。

ハエの同定とライフサイクルについては以下のパンフレットが詳しいです。

Fruit Fly Identification and Lifecycle :: Hawaii Area-Wide Fruit Fly Integrated Pest Management

何も気にせずタンパク質たっぷりのストロベリーグアバを食べるのもアリだと思いますが、神経質な私は今日も自分が食べる分の果実に袋をかけています。