アボカド(品種:シャーウィル)を栽培・収穫して食べてみた

7年前に植えたアボカド(品種:シャーウィル)が、昨年から今年にかけてはじめて実をつけました!

花を咲かせてから実を収穫するまでの様子をまとめましたのでご覧ください。

 

アボカド(品種:シャーウィル)の基本情報

学名 Persea americana(クスノキ科ワニナシ属)
英名 Avocado(Sharwil)
開花型 B(午前♂・午後♀)
樹形 開張性
果実の大きさ 中玉
果実の重さ 220〜450g
熟期 11〜2月
系統 グアテマラ系 ✕ メキシコ系の交雑種
おすすめ度 ★★★★★

アボカドの品種シャーウィルは、ハワイで商業的に栽培されている品種。

USDA(アメリカ合衆国農務省)がアメリカ本土への出荷を許可している唯一の品種でもあります。

ハワイのアボカドの70%以上はハワイ島コナで栽培されているのですが、その中でもシャーウィルの生産量が最も多く(現地生産量の45%)、次いで「マラマ」(21%)、「ヤマガタ」(11%)、「ムラシゲ」(3%)、「ハス」(0.9%)となっています。

他品種に比べてシャーウィルの生産量が多い理由は

  1. 豊産性で毎年実をつける
  2. 果皮が厚く輸送に強い
  3. 種子が果実の大きさに比べて小さいので可食部が多い(果実の約74%が果肉)
  4. 味がとてもよい

あたりではないかと思います。

ちなみにアボカドを栽培するうえで注意しなければならないのは、その開花型

シャーウィルの開花型はBタイプ。

アボカドの花は両性花りょうせいか(一つの花に雄しべと雌しべをもつ花)で、同じ花が2回開花します。

そしてアボカドの品種は、雌しべと雄しべの活動時間によってAタイプとBタイプの2つに分けられます。

Aタイプ:午前中に雌しべが受精態勢に入り、午後に雄しべから花粉が放出される。

Bタイプ:午前中に雄しべから花粉が放出され、午後に雌しべが受精態勢に入る。

このような特徴から、アボカドの受粉確率を上げるためにはAタイプとBタイプの両品種を混植することが推奨されています。

Aタイプの品種

グリーンゴールド(Green Gold)、ハス(Hass)、ピンカートン(Pinkerton)、ラムハス(Lamb Hass)、グエン(Gwen)、リード(Reed)、メキシコーラグランデ(Mexicola Grande)、スチュワート(Stewart)、ホリデイ(Holiday)、フジカワ(Fujikawa)、リンダ(Linda)

Bタイプの品種

マラマ(Malama)、カハルー(Kahalu’u)、ムラシゲ(Murashige)、フェルテ(Fuerte)、ベーコン(Bacon)、ズタノ(Zutano)、ウィンターメキシカン(Winter Mexican)

 

(詳しくは『アボカド―露地でつくれる熱帯果樹の栽培と利用』、『熱帯果樹の栽培』や『庭先でつくるトロピカルフルーツ』を参照ください)

なのでAタイプのアボカドも並行して栽培するようにしています。

 

アボカド(品種:シャーウィル)の栽培日記

今回収穫したアボカドの品種シャーウィルは2013年の秋に定植したもの。

(苗はPlant It Hawaiiから購入)

2019年も開花はしたものの、結実せず。

それがようやく2020年に実をつけました!

以下が実をつけるまでのタイムラインです。

 

2020年2月 開花

無数の花を咲かせました。

これだけ咲けば「たくさん実をつけるじゃろう…(ニヤリ)」と期待をふくらませていました。

新芽しんめがとくに赤いのもシャーウィルの特徴。

木の状態もよく健康そのものです。

 

2020年3月 結実

3月になると、受粉に成功して結果したアボカドがちらほら。

でもたくさん花が咲いてる割には、実の数が少ないような。

それもそのはず。

アボカドは小花をたくさん咲かせるものの、実を結ぶのは「1万花に1果」だそうです。

 

2020年5月 果実肥大ひだい

順調に大きくなるアボカドの実。

 

2020年6月 果実肥大

アボカドの実はどんどん生長しています。

 

2020年7月 果実肥大・害虫発生

ところがふと気がつくとアボカドの木に異変が!

葉が枯れて、地面にたくさん枯れ葉が落ちてて心なしか木がスカスカ。

それも一部の葉だけじゃなく、木全体の葉がこんな調子。

葉を裏返すとカビのような黒い物体がびっしり。

調べた結果、犯人はAvocado Lace Bugという虫でした。

原因がわかってからは、2週間に一回、葉の裏側を水または水+食用油でスプレーして虫を駆除。

(詳しい原因と対処法については下の記事にまとめました)

 

2020年8月 果実肥大・一部果実の落下

その後も実が大きくなるなか、一部の実は樹上で黒く変色したり、地面に落下していました。

変色した実の中身はこのように腐っていました。

結局、十数個は収穫前に落下。

原因はよくわかりませんが、自然なことなのかもしれません。。

 

2020年9月 果実肥大

害虫は駆除しても、近所のアボカドの木から飛んでくるので、気を緩めるとまたいつの間にか増殖。

めげずに対処する中、少しずつ実は大きくなりました。

この時点で20個くらいは実がついていたように記憶しています。

 

2020年12月 収穫

シャーウィルの熟期(収穫時期)は11月から2月。

なので11月上旬から2週間に1回のペースで、試しに数個のアボカドを収穫。

しかし、はじめは早採りしすぎて味が少し薄くて水っぽく。

アボカドは木になっている状態では色が変わらず追熟しないので、収穫のタイミングを見分けるのがなかなか難しいです。

でも12月になると、水っぽさがなくなり、おいしいアボカドになってきたので、数個ずつ収穫しています。

 

収穫したアボカド(シャーウィル)の大きさ・重さ

せっかくなので最近収穫したアボカドの長さと重さを測ってみました。

長さは7センチくらい、重さは140グラム。

通常220〜450グラムらしいので、これはかなりこぶりでした。笑

果実の形は卵形または洋ナシ型らしいですが、ウチのは卵形でした。

果皮はデコボコしていて荒めです。

 

収穫したアボカドを食べてみた

アボカドの実は収穫してから追熟が始まるので、室温(20〜25℃)で7〜10日ほどかけて軟らかくなるのを待ちます。

追熟にかかる時間を短縮するなら、エチレンガスを出すフルーツと一緒に袋に入れてあげます。

エチレンガスを多く放出するリンゴとパッションフルーツがたまたま家にあったので、アボカドと一緒に紙バッグにいれました。

青果物のエチレン生成量・感受性・最適貯蔵条件リストによると、リンゴもパッションフルーツもエチレンガス放出量が極めて多いフルーツ)

アボカドを切ってみたらベストタイミングでした!

とてもクリーミーで、めちゃくちゃおいしい!

ちなみにシャーウィルの果肉中の油分は多く、平均で28%もあるそうです。

(ハスは平均21%の油分)

これはシャーウィルの種。

大小ありますが、どれも茶色く丸いです。

長さは3.5センチ前後。

シャーウィルは「種子が果実の大きさに比べて小さい」という特徴があるそうですが、わが家で採れたものに関してはそうとは言えず。

害虫の被害や栄養不足などが原因で、十分に生長できなかったのかもしれません。

ハワイ島では道路沿いにアボカドの木をよく見かけますが、最近は丸裸に近い木を見かけることが多くなりました。

害虫の影響で栽培が困難になり残念ですが、今後もアボカドを収穫しつづけられるよう工夫をしたいと思います。

 

<参考>

‘Sharwil’ Avocado Identification – College of Tropical Agriculture and Human Resources University of Hawai’i at Manoa

Avocado, The Fertility Fruit – University of Hawaii, College of Tropical Agriculture and Human Resource, Cooperative Extension Service – Molokai