ブラジルその12〜トメアスのアグロフォレストリーの現場へ

ベレンに移動して市内を散策した翌日は、バスに乗ってトメアスという町へ!

まずはベレン市内のバスターミナルへ。
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Acara(アカラ)経由Quatro Bocas(クアトロボッカス)行きのバスのチケットを買います。一人当たりR$46(約1300円)。

バスターミナルに行くためにこのゲートを通らなければならないことがわかり、乗車券だけでなく新たにR$5くらいのカードも買うはめに。システムがめちゃくちゃわかりにくい。
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ひとまず無事にバスに乗れて一安心。
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週末ということもあり、バスにはたくさんの子供連れの乗客が乗っていました。みんなで歌をうたったりしてまるで遠足のようなにぎやかさ(^^;

すると突然バスが停車。何事かと窓の外をのぞくと、目の前には川が立ちはだかってます。
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川には橋がかかっていないので、車やバスは台船に乗って対岸へ移動しなければなりません。

向こう岸から乗客を乗せた台船がゆっくりと近づいてきます。

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台船を動かしているのはこの船。船体を左右に動かしながら上手に操縦して無事にこちら側の岸にドッキング。

乗客が降りると次は私たちの番。

まずは私たち乗客が先に台船に乗りこみ、つづいてバスが乗りこみます。
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川岸の景色をゆったり眺めながら、5分ほどで対岸に到着。

到着したら再びバスに乗ります。

ここからは一気にクアトロ・ボッカスへ向かいます。

クアトロ・ボッカスは観光客がまったくいない小さいけれど活気のある町。

道路も舗装されておらず、土の道。

ポルトガル語がろくに話せない私たちはかなり不安をかかえてここまでやってきました。

でも弓場農場の方からご紹介いただいたCAMTA(トメアス総合農業協同組合)の元理事長の坂口さんがバス停までお迎えに来てくださっていてほっと一安心!

そして手配していただいた宿「Aln Palace Hotel」にチェックイン。
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翌日は坂口さんのお宅やCAMTAのアグロフォレストリーの現場を見せていただきました。

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アグロフォレストリーは現代社会で主流となっている単一栽培ではなく、自然から学び、複数の農作物を同じ土地で育てる農法です。

例えばブラジルナッツのような大木となる木を植えたら、その近くには日陰を好むカカオの木や、短期間で収穫できるバナナを植えたりする農法です。

 

アマゾンのアグロフォレストリー

焼畑やきはた後まず、米、豆類、かぼちゃ、トマト、葉物野菜などの一年生の短期作物を植え、次いで胡椒こしょう、パッションフルーツなどの多年生の中期作物を植え、短期作物が雑草を抑えている間にそれらが生長し、部分日陰と防風効果をつくり出したころに、株間か列間に果樹と有用高木樹種(ブラジルナッツノキ、マホガニー、パラゴム、など)の苗を植えこむ。こうすると、中期作物が5~6年で枯れるころには、果樹が実をつけ、有用樹が10mほどに生長している。高木はやがて材木として出荷される。こうして、畑から絶え間なく収穫があるよう組み合わせる農法をあみ出した。組み合わせの仕方は無数にある。
アマゾンの原始林が完全に焼却された状態から、数十年から数百年をかけてまた元の原始林に戻るまでの、自然の植生の遷移せんい模倣もほうした形で作物を組み合わせて栽培し、そのサイクルを繰り返していくところから、この農法は、学術上、遷移型アグロフォレストリと呼ばれている。

ブラジル移民の100年『アマゾンのアグロフォレストリ』より

トメアス地域では、昔はコショウ(ピメンタ)の単一栽培たんいつさいばいが主流でした。

単一栽培とは?

単一(一品種)の農作物を生産する農業の形態のこと。

単一栽培では需要の高い農作物を集中的に生産することで効率的に収益をあげることができ、大規模化も行いやすい。その代わり、天災や病害虫の異常発生などによって、農作物が全滅してしまうリスクも高い。

1933年にシンガポールからブラジルに持ち込まれたコショウは「黒いダイヤ」と呼ばれるほど、当時は一部の富裕層しか味わうことができない貴重な香辛料でした。

それが戦後、ブラジルでコショウの栽培が普及し、1950年代前半にはコショウの価格高騰でコショウ長者が出るほどになりました。

ところが、1960年代後半からフザリウム菌などによる病害のためコショウ栽培は大打撃を受けたことにより、コショウに代わる農作物を探していくなかで、アマゾン原住民が農法からヒントを得て、持続可能性のあるアグロフォレストリーという農法が実践されるようになったそうです。

この農法により、さまざまな品種のフルーツや木材を同時に栽培することで、絶え間なく収穫を得ることに成功したそうです。

これは私たちのハワイの土地でも実践できそうな農法なので、とても刺激的でした!

そしてCAMTAのジュース工場も見学させていただきました。
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ここではアサイーをはじめとした様々なフルーツをジュースに加工・保管が行われます。

多くの従業員が働いており、とても大きく存在感のある工場でした。

日系資料館や移民の森、事務所などをご案内していただいたあとは、CAMTAの販売店も見せていただきました。

CAMTAの工場で加工したフルーツのパルプ(冷凍)やアグロフォレストリーで収穫した果物やブラジルナッツ入りのおいしいクッキーなどが販売されていました。

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これはジャックフルーツ。

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冷蔵庫にはカジュー(カシューナッツ)も。

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ブラジルナッツも。

ブラジルナッツは、ブラジルではじめて食べましたが、新鮮なナッツは最高においしかったです!

翌朝はベレンに戻るため再びバスに乗りました。

帰りも坂口さんが見送ってくださり、本当にありがたかったです。以前から訪れてみたかったトメアスのアグロフォレストリーの現場を、不思議な縁で案内してもらうことができ、とても貴重な体験になりました。遠い異国の地で、坂口さんがとても温かく迎えてくださり、感謝しかありません。

CAMTAの工場で加工されたフルーツのジュースはフルッタフルッタが日本で販売しているため渋谷のヒカリエや、日本各地のブラジル系スーパーで買うことができます。

また、今回訪れたブラジルの町トメアスに住む日系人や彼らの農法についてはアマゾンプライム・ビデオの『In the Americas with David Yetman』のシーズン2・第3話「The Rainforest Nisei: Japanese Immigrants in the Amazon(熱帯雨林に住む二世:アマゾンの日系移民)」でも紹介されています。

アマゾンプライム・ビデオ

日米アマゾンプライム会員なら下記リンクから無料で視聴できます:

米国版リンク(Amazon.com):In the Americas with David Yetman

日本版リンク(Amazon.co.jp):In the Americas with David Yetman

興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

ブラジルその13へつづく〜